Friday, April 19, 2013

Summary of media coverage and online reactions


村上春樹新刊 ハルキストに似合わない?行列

2013.4.19 07:59 
                           12日朝、書店には村上春樹さんの新作が積み上げられていた=東京都千代田区


発売前から3度の増刷がかかり、12日には深夜0時のカウントダウンイベントまで行われた村上春樹さんの新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(文芸春秋)。その勢いのままに感想や書評がネットにあふれ出しているが、一方で行列に首をかしげたり、その現象的考察も行われている。今週は「ハルキ狂騒曲」を取り上げる。
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 「村上春樹の新刊発売カウントダウン。行列凄(すご)くて、すごすご退散」「こんな行列作るのは、村上春樹とiPhoneくらいだわ」(ツイッターから)
 そのiPhoneなら、「発売日に手に入れないと在庫切れになるかも」という、行列に並ぶ分かりやすい理由があるのだが…。
 「ラーメン店の行列は並ばなければ食べられない。村上春樹の行列は並ばなくても買えるのに並んで買う。行列の意味が違うのかもしれない」。別のユーザーは「村上春樹の作品は『流行なんてどうでもいい』みたいな主人公像。深夜に行列つくってまで読む人が好きな話なの? なんとなく結びつかない」。
 とはいえ、“祭り”はたぶん踊った者の勝ちだろう。だが、にぎやかな雰囲気の中で新刊を手に入れた人々は、さっそく本を開いて、「多崎つくるはほとんど死ぬことだけを考えて生きていた」という陰鬱(いんうつ)な冒頭の文と出合う。その「落差」は、数ある行列の中でもハルキストだけが経験することかもしれない。
 ◆商魂もたくましく…
 同業者ながら感心したのが朝日新聞デジタルだ。発売前日に「文化の専門記者が徹夜で読んで書いたレビューをいち早く朝に配信」とツイッターで告知し、12日午前7時台にアップした。しかし、無料で読めるのは冒頭だけで、続きは「有料ページ」へと誘導。このしたたかさは、見習うべきだろうか。
 一方、こんな指摘もツイッターにはあった。「『村上春樹作品はどうしてこんなに話題になるんでしょうか』という質問を(マスコミは)したがるわけだが、『そりゃ、あなたたちマスコミが大騒ぎするからでしょうよ』以外答えようがない」
 ◆広がる「共鳴」
 ネット書店最大手のアマゾンでは、発売後数日でレビューが100を超えた。過去の村上作品を読み込んだ人による長文のものが多い。あるユーザーは作品群に「孤独の影」を指摘して「新作が出るたびに大きな話題になって膨大な数が売れるようなものではない」と書く。あるユーザーは「思わせぶりが上手(うま)くて感傷的なだけ」と突き放す。
 レビューの多さについてはこんな指摘もある。「村上春樹の新刊が『速攻で買って読んで最速レビュー書くぜ』的な、何というかファミコン時代のドラクエみたいな感じになってる気がする。SNSの普及で『話題になってるものに言及したい』という欲求が強まるので、何でも一番人気のものの爆発力がすごい」(ツイッターから)
識者や有名人のレビューは新聞・雑誌などに相次いで掲載されているが、そうではない人々のレビューに大量に接することができるのが、ネットが読書にもたらした大きな変化だ。多崎つくるは物語の大半において孤独だが、それに共鳴する読者は、ネット上に共鳴の広がりを見ることができる。そして孤独は、発売日の行列の人混みにも紛れ込んでいるだろう。(光)
                 
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130419/trd13041908000006-n1.htm

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